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by jony7h

建設業を営む保険契約者の下請人が、その請負った仕事内容によっては残念ながら補償対象に該当しない事例があったようなのでご紹介します。専門的な文言や考え方があり、複雑かもしれませんが参考にして下さい

1保険契約者の業種:建築工事業

契約者の主な仕事内容---建築物へ木工製品の取付けと木工製品の製造・加工(製造・

加工は契約者の施設で作業を行う)

保険の補償対象者---契約者・従業員と下請負人全員の傷害

事故状況---契約者の作業場で、下請人がカウンターテーブルを製造する作業中、

木材を運搬中に転倒して負傷したもの。

請求内容---下請の傷害請求

有無責---無責(保険の支払いができない)

理 由---下請人のケガの請求でしたが、請負契約の内容は、木工製品の製造または加工とそれを建築物に取り付ける内容の契約でした。本件は、契約者の作業場で木工製品の製造または加工の仕事を請負っているときのケガだったため、その下請人は、補償対象者に含まれないということ。

解 説---現場の下請けとは、建設業における記名被保険者(契約者)の下請人およびその被用者全員と規定されています

建設業とは、建設工事の完成を請け負うことと定義されています。

そして、建設工事とは、建設業法第1章第2条第1項に定める28業種を指しています。

下請契約とは、建設工事を他のものから請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で、当該建設工事の全部または一部について締結される請負契約と定義づけられています。

以上より、現場の下請けに含まれるポイントは、事故が、下請人が建設業における作業を行っている間に発生したか

つまり、契約者の業務である建設工事の完成を請け負っている間に発生したかどうかということです。

事例では、契約者から下請人へ発注した内容は、「カウンターテーブルの製造・加工」と「カウンターテーブルの取付工事」です。

これらのうち、建設工事と定める28業種に該当するのは、後者の「取付工事」のみとなります

カウンターテーブルの製造・加工は、依頼内容としては、一連の作業かもしれませんが、建設業法上の建設工事に含まれません

では、カウンターテーブルを製造や加工しているときに怪我した下請人を補償するにはどうしたらいいでしょうか?

この事例では、下請け以外の「契約者の管理下にある従業員」も具体的に保険の補償

対象者とする契約内容にしていれば保険の対象となっていました

このように、建設業を営む会社の中には、自社の工場や作業場で建設工事以外の仕事を下請人に依頼するケースもあり、下請けとの業務リスクなどでの詳細な取決め確認と注意が肝心でしょう。

では、補償対象者における管理下とは、どのよう状態のことを指すのか、次の事例を通じて「管理下」について理解を深めていただきたいと思います。

2---保険契約者の業種:映画の製作、演劇などの事業

契約者の主な仕事内容---TV・CMの制作

保険の補償対象者---契約者・従業員と「契約者の管理下にある従業員」の傷害

事故状況---契約者の現場でCMを撮影中に、外国人俳優が転倒して負傷した。

請求内容---「契約者の管理下にある従業員」の傷害保険の請求

有無責---無責(保険の支払いができない)

理 由---契約者と俳優との間の契約関係を調べたところ、契約者→キャスティング会社→タレント事務所(外国人俳優が所属)という流れがあり、契約者とタレント事務所との間には直接の契約関係がありません

解 説---「契約者の管理下にある従業員」は、「契約者・従業員と下請負人全員以外の、契約者の管理下にある方」と規定されており、その「管理下にある方」とは、「契約者が所有・使用される事務所や工場などの施設内、または契約者が直接業務を行う現場内において、契約者と直接の契約(請負、委託等)に基づき、契約者の業務に従事すること」と規定されています

管理下にあるかどうかは、一つは場所、もう一つが契約者と補償対象者が直接の契約を締結していることがポイントです。

事例では、事故発生場所が、契約者が撮影に使用する現場なので、場所は管理下の要件を満たしていますが、もう一つの契約関係をみると数次の委託契約となるため、保険契約における管理下の要件を満たしていないことになります

なお、傷害保険契約の「契約者の管理下にある従業員」においては直接の契約関係が求められますが、製造業の構内作業者と、ビルメンテナンス業の作業員は、例外として数次の請負契約でも補償の対象に含まれるようです。

契約者の業種や契約者と下請などとの間の契約関係の具体的な取決めがどうなって

いるのか、契約者側とも契約時の双方の確認が大切ということです


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# by jony7h | 2018-12-12 07:20 | リスクマネジメント | Trackback | Comments(0)