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私たちの日本の現在と未来を考え一歩を踏み出そう。情報探偵・ジョニーT


by jony7h

おかしな人達の物語・2

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失踪

3.
後日、ママの愛子から私の携帯に電話があり、話しがあるという事なので会ってみると、
「ジョニー、あんた探偵やってると言ってたよね。ちょっと相談があるんやけど…」
話を聞くところによると、愛子の旦那は元ヤクザで内縁関係だが、組が解散してからも当時からの凌ぎをヤミで調達して生活をしていた。
その旦那が家に帰って来ていないし、この数日の間まったく連絡が付かなくなって心配しているという。
「警察には届けたのか?」
「一応警察にも届けたけど、警察は何もしてくれないのよ…戸籍上の奥さんの治美さんには連絡しにくいし」
「…わかった。じゃあ、少し話を聞かせてもらえるかな?」
内縁関係の旦那の名前は竜二、数年前に愛子がまだ他の飲み屋をヘルプで店を手伝っている頃に竜二と知り合った。
まだ現役で三十代のヤクザで侠気と羽振りの良さの竜二に愛子が惚れてしまった。
今の店をもたせてもらったのも竜二のおかげだ。
竜二は一年程前に組が解散してから自暴自棄になり、酒を飲む量が増えて治美に暴力を奮うようになり、妻の治美は出ていってしまったとの事だ。
それから、自分のところに転がり込んできたという次第で同棲が続いていた。
現在は以前の組にいた頃の人間とは縁を切っているし、今付き合っている他の友人の話も聞いた事がないらしい。
「他に何か話を聞いていなかったか?」
「最近、あの人は私には何も話そうとはしなかったし…」愛子は考えながら、
「これといった事ではないけど、あの人の故郷が北海道の苫小牧で親が漁師をやっているけどもういい歳で漁師を引退するというので近い内に顔を見に行こうかな、とは言ってた」
「調べてみるので、もう少し教えてほしい事があるけど……」私は、他の情報を愛子から聞き出す事にした。
「…ねえ、どう思う?」
「どう思うって聞かれても。それより、元気出せよ」
愛子の寂しそうな横顔が年令よりも老けさせていた。
「でも、この前は面白かった。初めて会った人達やのに、以前からの知り合いのように冗談ばかり言ってたものな」
「でしょう~。うちの店に来る人は私が選んでいるのよ。変な人は入れないから」愛子は少女のように屈託がない表情をした。

実はあの後、店を閉店してから愛子と嶺さんと3人でマコのいるニューハーフの店・ブスタンクを覗きに行った。
窪ちゃんがマコの腰に手をまわしながら「今ええとこやったのに、また邪魔しに来たんか。しゃあない、まあ座りーな」と言うので、遠慮なくボックス席のマコの隣に座らせてもらった。
「あら、愛ちゃんいらっしゃ~い。嶺さんお久しぶり…と、こっちのお兄さんは…ジョニーさんね、私、市子です」この店のママ?らしい頭のてっぺんにお花を乗せて体は半分裸同然という滑稽な格好をしたおじさんが挨拶に来た。
「愛ちゃん、ちょっと聞いて~。もう窪ちゃんたら大変なのよ~マコに入れ込んじゃって…私じゃあ駄目なのかしらね?」市子ママは一人でしゃべりながらカウンターの方にまた戻っていった。
「ねえ~窪田さん、さっきの話の続き」マコが窪ちゃんの腕を掴みながら形の良さそうな胸をすり寄せた。
マコは札幌出身で二十代始めの時に付き合った男が酷いストーカーだった事もあり札幌を離れて各地を転々としながら神戸にやってきたという事だ。
窪田が半年ぐらい前にスナック優友でマコと知り会って、この店を世話したという事らしい。
「マコちゃんって、本当は女性じゃないのかな…?」と私が声を落としながら言うと、その場が一瞬固まった。
「何でそう思うの?」マコが私に訊ねた。
「俺もあまり詳しくないけど、この手の店の人ってすぐに男性の股間を触りにくる人が多いのに、マコちゃんからはそういう素振りが無いもんね。いや、触ってくれとは言ってないよ」
「それは触ってくれと言ってるのと一緒や。いや、それはあかん。俺が許さん」窪田が焦って話に入ってきた。
「そんなに触ってほしいのやったら、私がいつでも触ってあげるよ」愛子が触りにきたので
「いや、そうじゃなくて…」
「何でもいいから、触らせ…」トイレに行く事でその場を何とか逃亡した。
トイレから帰ってからは、皆からかなり飲まされてしまった。

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by jony7h | 2010-08-18 01:00 | ミニ小説・おかしな人達 | Trackback | Comments(0)