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私たちの日本の現在と未来を考え一歩を踏み出そう。情報探偵・ジョニーT


by jony7h

傷害事例を考える

事故というものは、様様なケースが存在します。
今回、労災事故に関して相談があり、ポイントを箇条書きしてみました。

前提条件で、A建設業者は、労災保険と民間の労災上乗せ保険(従業員・下請負人全てを含む内容のもの)に加入しています。

(事例)
A建設業者(施主)が、自社の事務所の改修工事をB個人事業主(施工業者)に依頼した。
B個人事業主(施工業者)の指示で改修工事作業をしていたC作業員が脚立から転落し腕を骨折、病院での治療を受けることになった。

(問題の詳細)
この場合での労災事故の責任者は、C作業員を雇用していたB個人事業主(施工業者)にあります。
後で分かった事だが、B個人事業主(施工業者)は、労災保険と民間の労災上乗せ保険(従業員・下請負人全てを含む内容のもの)に加入していなかった。
C作業員は、民間の傷害保険にも加入していない。
C作業員の傷害を保険請求できそうなところが何処にも無さそうである。

(問題の結果)
施主であるA建設業者で加入の労災保険と民間の労災上乗せ保険は、この場合使用することが出来ません。
何故なら、施主であるA建設業者は施工業者であるB個人事業主に工事を依頼しているだけで、労災事故には責任が発生しないということです。
つまり、事例のC作業員の骨折傷害事故に関しては、B個人事業主(施工業者)がC作業員に対して何らかの誠意を持って対処するしかありません。


仮にこういった話は無いと思うが、A建設業者の労災保険・民間の労災上乗せ保険を活用する為、A建設業者の他の現場でC作業員が骨折傷害事故になったと申請しても病院の診断書等とのつじつま合わせができなくなった結果、労災・民間保険会社への不正受給目的の詐欺行為となり、刑事罰の対象になります。
このようなリスクをわざわざA建設業者が背負うことは考えられないだろう。

一般的には、D施主からの工事をA建設業者が請負い、D施主の工事をA建設業者からB個人事業主に注文、C作業員が業務中に傷害事故を被った場合は、労災の範囲に勿論入ります。
A建設業者に労災の元請責任が生じ、B個人事業主にも労災責任が発生します。
この場合、A建設業者の労災保険、民間の労災上乗せ保険を使用することになります。


(別の事例の場合も考えてみよう)
同じく、A建設業者が、賠償責任保険(工事第三者賠償・施設賠償保険)と労災保険・民間の労災上乗せ保険(従業員・下請負人全てを含む内容のもの)に加入している場合。

(例題)
ある日、A建設業者の社内・倉庫等で社外の人E(下請業者や知人)に掃除や整理整頓を手伝って貰っていた時、Eさんが傷害を被った場合について考えてみよう。

(例の詳細)
1.事故原因が、A建設業者の施設上の瑕疵(欠点や欠陥がある)によるものなら、賠償責任がA建設業者に生じ、施設賠償保険にて民事賠償(弁償金)対応することになります。
但し、保険会社の示談交渉はありません。

2.事故原因が、A建設業者の施設上の瑕疵(欠点や欠陥がある)がない場合、
労災保険と民間の労災上乗せ保険(従業員・下請負人全てを含む内容のもの)は、活用することができません。
理由は、Eさんの傷害に関しては、A建設業者が請負う工事での労災事故に対応するものなので、残念ながらこの例題では当てはまりません。
Eさんが個別に傷害保険に加入していれば、その傷害保険を活用するしかありません。
あとは、A建設業者が誠意を持ってEさんに見舞金などで対処することです。

※この場合、A建設業者の従業員が自社内と倉庫等の掃除や整理整頓中の傷害なら、業務事故となり労災保険と民間の労災上乗せ保険の補償になります。


備えあれば憂い無しだが、保険というものは勿論オールマイティーではない。
自分で判断せずに、ありのままの詳細を保険代理店に伝えて相談されるのが賢明でしょう。

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by jony7h | 2014-06-12 06:23 | リスクマネジメント | Trackback | Comments(0)